Ryuz's tech blog

FPGAなどの技術ブログ

生涯技術者でいたいな

はじめに

別に寄席に聞きに行ったりするようなことも無いので、好きというのも語弊があるのかもしれませんが、飛行機に乗ると落語チャネルを聞いてしまったり、テレビ番組を見ていて笑点とかやってるとついつい見てしまう程度には落語とかの演芸は好きではあります。

で、笑点なんかだと歌丸さんにせよ円楽さんにせよ、立派な噺家の先生たちは天寿を全うされる直前まで高座に上がったりされていたわけで、「生涯現役ってこういうことだよなぁ」などとしみじみと思い返してみるわけです。

一方で、私の見てきた世界の大半がサラリーマン技術者の世界であったこともあって、技術者でこれをやれてる人ってあまり見たことないいな? と、まあそんなことを考えてみたわけです。

実際、サラリーマン技術者ですと、まあ、そもそも管理職にならずに最後まで技術やってる人も案外少ないのですが、それでも60歳で定年となるとそこで技術から離れてしまわれるような方も多かったように思うわけです。 また、再雇用で会社に残ったとして、びっくりするような優秀な方が、これまたびっくりするような安い給料で雑用みたいな仕事をしてたりもまた良くある話でして。

ソフトウェアみたいな業種ですとまだあまりお金かからないからいいのですが、多くの技術は技術をするために設備だったり環境だったりいろんなものが必要ですので、何の準備もなく60歳になって組織から出てしまうと、幾ら技術が好きでもなかなか個人の力では何かを新しく始めるのも大変なのだと思います。

幸か不幸か、私の場合、50歳を迎える前に個人事業主という経験をする機会を得ましたので、次の10年を歩むにあたって何か準備ができないかなどを考えてみている次第です。

日本の技術者のポジション

私の場合、急に組織と言う後ろ盾を失って、途方に暮れていたところいろんな方に助けて頂いて今日があるわけですが、そもそも助けて下さる方がいて、今技術をやれているのは、私自身を会社組織関係なくそれなりにいろんな方に知っていて頂けていたからに他ならないように思います。 会社が会社のブランディングをやるように、個人のブランディングって技術続けるうえで重要なのではないかと改めて思ったわけです。

先の噺家さんの話のように芸能の世界におられる方は、まさに個人名がブランド化しているわけですが、そういえばそもそも日本の技術者ってあまり個人が目立たないよなとふと考えてみました。

アメリカなんかだと IR で、「〇〇開発チームに有名な〇〇氏に参画してもらう事になりました」なんてことは多少あるように思いますが、あまり日本ではそういう話も聞かないので、少し AI に聞いてみたところ

組織としては「誰がやっても同じ品質が出る」状態を理想とするため、特定の個人が目立ちすぎると、その人が離職した際のリスクを過大に評価してしまいます。

と、「あ、なるほど、確かにそういうところあるな」と納得してしまうような答えが返ってきました。

もちろん組織にもよりますし、時代によっても変わりますが、技術は個人ではなく組織に属すことを理想としている組織においては、属人化は仮にそうであっても隠しておきたい事項ですので、あまり個人は表に出さず、建前を通すために給料もだいたいみんな同じぐらい、60歳になれば全員一律定年退職、というのは確かにそうなりそうな気がします。

少し壁打ちしておりましたら AI が表にまとめてくれて、興味深かったので張っておきます。

項目 日本(伝統的企業) アメリカ(シリコンバレー型) 欧州(ドイツ・北欧等)
技術者の位置づけ 組織を構成する「歯車・設備」 価値を生む「タレント・資産」 高度な「職人・マイスター」
個人名の扱い 組織に隠すべき(属人化リスク) 前面に出すべき(ブランド・信頼) 専門性で評価(ギルド的信頼)
知財(IP)の考え方 全て社内に囲い込む(総取り) 循環させてエコシステムを作る 共有と標準化を重視する
IRでのアピール 特許数、設備投資額 キーマンの経歴、開発コミュニティ 業界標準への貢献、持続可能性
流動性への態度 退職は「裏切り・損失」 退職は「エコシステムの拡大」 安定した専門性の移転
契約の力学 雇用に近い「拘束型」 プロの「知見利用型」 権利と義務の「等価交換型」

伝統的企業って、まあ所謂 JTC(Japanese Traditional Company) とか揶揄されるようなごく一部なところだと思います。

私がかつて20年以上務めた製造業も、最後の方は今風の社風に変わっておりましたが、入社したころはまあ JTC でしたねぇ(笑)。

如何にして技術者をブランディングするべきなのか

ニュースなんか見ていても、日本企業に勤める技術者の名前が出てくるのはノーベル賞とるぐらいの事をした時で、それですらノーベル賞とるまでは「知る人ぞ知る」レベルというのは良くある話かと思います。そしてこれそのまま社会の縮図であり、「〇〇社の技術はすごい」と知っていても、誰が作ってるかまでは競合他社に勤めていて特許回避に頭を悩ませてる技術者ぐらいにしか知られていない、なんてのは良くある話なのかと思います。

私の場合、学生のころからフリーソフトで ITRON 作って遊んでいただとか、今でいう OSS のようなことをしておりまして、社会人になってもそういう事はやり続けておりましたし、「機密保持義務」とか「副業禁止」とかいろいろあるので、お仕事とは違う技術をMITライセンスでOSSでとかでやるとか、まあ当時は一円にもならないことを地道にやっていたのが、今になって飯のタネになったりしているわけで、人間万事塞翁が馬といいますか不思議なものです。

まあ、私の場合、ソフトウェアというお金のかからない分野だったので何とかなったというところでしょうか。

で、話を戻すと、最終的に 60歳過ぎて、現役で技術者やってる人って結局

  • 自分の技術をやるために自分で会社作った人
  • 採算度外視して趣味で技術やってる人
  • 個人のスキルに投資してくれる強力な支援者がついた人

などがありがちなところな気がします。

少なくとも、何の準備もせずに「他人の作った会社の中でしか知られてない状態で技術やってる」だけだと、定年退職などで組織という後ろ盾を失ったとたんに技術を続けるのがとても難しくなるように思います。

逆に最近の若い方々はこのあたりは良く心得ておられるようで、年寄りなんかより自己アピールの重要性がわかっておられるように感じます。終身雇用にどっぷりつかってきた世代と、ジョブ型雇用と自己責任論で危機感を持っている年代との差なのでしょうか。

転職を繰り返してキャリアアップしていくというのは、常に新しい会社に自己のブランドを売り込む行為ですので、その延長に定年というジョブチェンジを置くというのは、ある意味理にかなっているのかもしれません。

おわりに

結局なんの結論も得ていないのですが、今のところ自営業やっている限りは定年というものは無いようですので、1つでも2つでも世の中の役に立つ技術活動を1年でも長くやっていくことが出来ればなと思う次第です。

あとまあ、長く続けるコツって、多分好きな事をやることな気はしてますので、仕事のマッチングって大事だと思うのですよね。

そしていいお仕事に出会うためには、自分のスキルを高く評価してくれる人々に出会う事であり、やはりクローズにならずにオープンにやっていくというのは長く続けるために大事なことなのかなと改めて思って見た次第です。